重篤な「ID」中毒。
自担こと萩谷くんの出演する舞台、TXT vol.2 「ID」の公演が始まった。
初日17日の昼公演、20日昼公演…と2公演観劇して、私はすっかりIDの虜になってしまった。
まさかID中毒になるなんて。
正直な話、公演が始まるまではあまり好みの作品ではなさそうだな…と思ってしまっていた私がいた。
なんせ、私が好きなのは現実世界を舞台にしたリアリティのある物語であったり、シェイクスピアとかそういう古典物語だったり…多分自分に重ね合わせて物語の世界観に入り込むのが好きなんだと思う。
それこそ、長妻くんが出演しているタンブリングとか、ああいう青春モノには激ヨワですぐ泣いちゃう。
だから、この舞台が発表された時にはSFとかアバターとかの文字が並ぶINTRODUCTIONや、現実離れしたキービジュアルに全くと言っていいほど心惹かれなかった。
萩谷くんのお仕事は観たいけど、通うほどではないかな…という気持ちで、FCで当選した2公演以上は観劇しようとは微塵も思っていなかったし、もう1人の贔屓にしている方*1の舞台が中止になってしまった時にも「その分ID入ろう!」とは思わなかったくらい。
今考えると本当にアホ!他の予定も入れるんじゃなかった!もっと一般とかでちゃんとチケット押さえれば良かった!涙
初日開演前に記者会見やゲネプロの様子がリリースされたのを見ても萩谷くんがすごく評価されているのは嬉しかったけれど「萩谷くんの綺麗なお顔が…全然…見れない…😥」と凹む気持ちが楽しみな気持ちに勝ってしまっていた。
気づいたら、私はもうID中毒患者だった。
そんな状態で、全然期待を抱かずに入った初日公演。
終演後に息をするようにチケトレで東京楽公演のチケットを押さえてしまうくらいには、沼でした。(もちろん、Blu-rayも予約完了)
2公演観劇して、このあと入れる日のチケットは全部押さえてしまったし、配信も全部買ってしまった。
こんなにも「観たい!」という衝動に突き動かされる舞台なんていつ以来でしょう…。
ここまで、引き込まれるなんて何故?!ということで、私なりのIDの魅力を考えてみた。
※ここから先はネタバレ含みます※
TXT vol.2「ID」の魅力とは
魅力とは、その世界観。
開場して、座席に着いた瞬間から、きっとその世界に引き込まれていた。
目の前に広がる無機質な世界。そして数分に一度それを助長するような、テクノロジカル(って表現があるのかはわからないけれど)な効果音。
そこは既にIDの世界で、私は物語の中にいた。
開演と同時にまるでディズニーの世界のようにごく自然にIDの世界の更に奥深くに引き込まれ、目の前には委員会のメンバー。
気づけばまるで私もその一員かのように各委員の意見に共感し、賛同し、時には疑問を抱き、いつの間にか私も仮説を立てていた。
なぜだろう?それは多分、スッと世界に入り込める演出だったから。一方通行な物語ではなく、それぞれが問い掛け、疑問を抱き、それぞれの役割を全うすることを考えていたから。そしてそれが完全ではないから。
だからこそ、私があの場にいたら…と私なりの役割を見つけようとしていたのかもしれない。
この舞台の魅力のひとつはやっぱりこうして自分自身が物語のひとりになったような気持ちになれたことだと思う。
魅力とは、そのキャラクター。
キャラ付けがハッキリしていたのも「これは誰だっけ?」と余計なことに気を取られずに物語に入り込める理由のひとつかも。
お茶目な教授。教授には絶対な風紀委員。俺様な生徒会長。ハッキリとした意思を持つ学級委員。美しさを追求する美化委員。変わり者だけど、頭のキレる図書委員。きっと1番普通な保健委員。ちょっとお馬鹿で、でも愛のある広報委員。
そして、それぞれ混じり気のない感情を持つ8体のアバター。そのぶつかり合いも共感する姿も、見ていて胸がきゅーっとなった。プルチックの感情の輪は心理学を齧った私には馴染みのあるモノではあったけれど、日々生きていく中で感じる私の中の葛藤がこんなにも視覚化されたのははじめての感覚だった。
魅力とは、誰もが持つ感情。
人それぞれバランスは違えど、誰もが持つ8つの感情に焦点を当てていることもまた、きっとこの物語に入り込める理由だよね。
8つの感情がそれぞれ支え合い補い合うだけではなくて、ぶつかり合い、反発し、時には仲間を殺してしまったり、仲良しこよしで終わらないのもIDの好きなところだったりする。
だって、私の中の感情はいつも調和しているわけではないんだもの。
たくさんの気持ちが混ざり合い、ぶつかり合い、反発し合って、どうにもならない気持ちになることだってある。IDはそれを認めてくれているような気がしたから。
もちろん、コントロールできるようになるのが1番なんだけどね。でもこんな知能集団(委員会)ですら、感情の暴走はコントロールできないことだってあるんだよ。ってそう励ましてくれているような気がした。
魅力とは、中毒性。
物語の終わりも、決してスッキリするわけではない。
けれど、何度も何度も繰り返し観たくなるようなそんな仕掛けがあって。そういうことだったのか!って知ってから改めて思い返してみると「あの時のあの台詞の意味は?」「あの行動の意味は?」「もしかしてあそこで、この人は…?」と気になる箇所が次々と湧いてきて、気になってまた観たくなって…。
きっとその思惑通り、中毒になっちゃった。
萩谷慧悟というひとりの役者
ここから先は、萩谷くんの感想ね。
やばめな図書委員。
萩谷くんが演じる図書委員、鼻につくんだけど、どこか憎めなくて…。最初は自分の能力をひけらかして、人を小馬鹿にする嫌なやつかと思っていた。無感情で、"情"なんて知らないやつだと思っていた。世界を、周囲の者を達観しているようにも見えるし、上の者には逆らわずに従うような、AIのような存在。それが図書委員の印象だった。
でもね、どこか彼のこと憎めないんだ。
萩谷くんだから、というのもあるかもしれない。図書委員がプログラマーなのも、SEしてる私にはとっても親近感があったというのもあるかもしれない。
図書委員に宿る、感情。
けれど、それだけではなく、SADを捕らえたあとの図書委員はどこかに心の弱さというか、寂しさというか、そんな感情が見え隠れする気がした。
そして、図書委員の最大の見せ場、あれはきっと、彼の心の葛藤で、迷いで、苦しみなんじゃないかと思った。
目的(というか、彼の場合は上からの指示)に真っ直ぐで、感情の宿っていない眼をしていた図書委員だけれど、後半、彼の瞳にはうっすらと感情が宿った気がした。
きっと、前半の図書委員なら、広報委員が委員会を裏切ったことがわかったら迷わず斬り捨てると思う。そのくらい、情けなど持ち合わせていないと感じた図書委員。
でも、実際彼は、失望や寂しさ、やるせなさ、そんな感情を抱いていたような、そんな気がした。
私の勘違いかもしれないけど、深読みかもしれないけれど、でも、そんな風に僅かな感情の違いを演じられる萩谷くんって本当にすごい人だと思う。
なんかね、後半の図書委員のそういう人間味のかけらを垣間見たような気がして、思わず図書委員に愛情を抱いてしまったよ。
萩谷くんであることなど微塵も感じさせなかった。そんな図書委員が本当に好きで、これはもう、ID中毒で図書委員中毒。
泣き虫SADは赤ちゃん萩ちゃん。
図書委員の冷徹さに反して、SADはすごく幼くて可愛い萩ちゃんだった。
耳まで真っ赤でわんわん泣く萩谷くん。本当に赤ちゃんみたい。
守りたくなってしまう、その弱さと豊かな感受性。
慰められる萩谷くんは本当にカンパニーの最年少感に溢れていて本当に可愛かった。
あれだけ感情の宿らないような眼をしていた図書委員と本当に同じ人物が演じているの?と疑いたくなるくらいの、幼いまなざし。
あの5分程の時間もまた私をIDの沼に深く沈めていく。
図書委員からSAD、そしてSADから図書委員…。あれだけのふり幅のある2つの役を演じ分ける萩谷くん。
とんだ才能の持ち主を好きになってしまったな。
私を支配する、感情とは。
こうして世界観にも物語にも萩谷くんの演技にも引き込まれ、本能のままにIDを欲している。
私を支配するこの感情は一体なんだろう。
IDの世界へ誘われる"喜び"か、また新たな発見ができる"期待"か、何故こんなにも感情がぶつかり合うのだという"怒り"か、この舞台を知らない者への"軽蔑"か、あと何度観れるのだろうという"悲しみ"か、こんな仕掛けが?!という"驚き"か、この素晴らしい舞台を見逃す"恐怖"か、絶対に満足感を得ることができるという"信頼"か。
きっと、どれもが正解なんだろう。だって、感情は1つじゃないから。
そのどれもがTXT vol.2「ID」の魅力だから。
ようこそ、ここはID中毒の入り口です。
…というわけで、ここまで読んでくださった方の中でもしまだ「ID」を観劇していない方、観劇しようか迷っている方、まだチケットもあるみたいですしぜひ劇場へ!
そして、なんと明日(6/22)と次の日曜日(6/26)は昼公演・夜公演共に配信があります。
こんな状況なので「劇場に行くのは不安…」という方も、「予定が合わないわ…」という方も、アーカイブもありますので、ぜひ!ぜひ!!
ようこそ、ID沼へ。
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